|
|
|
|
|
|
色彩を鮮やかに感じられる歌を選びました。
春さんぐわつ菜の花ばたけの花々は黄いろの浄土売るためのもの
渡辺松男
黒き蛾の廊下に死して動かざれば真白き雪の中に埋めやる
井澤良江
ぎんいろの電車過ぎれば踏切の向こうにふぶくきさらぎの山
東山研司
清貧は白と思ひき雪被る畑に夫は大根を抜く
伊藤美枝子
沸点とう頂点もてばキッチンに沸き立つ湯気もやがて鎮もる
松田キク子
掌の中に蛍光ペンの光りつつ傷ひとつなきわが身おそろし
齋藤英明
図書館の静かな椅子に身を預け恐竜図鑑に我を見つける
髙木遊楽
蜂入れて百合はけだるく揺れてをり法要をへて出できし庭に
日高堯子
記憶より必ず消えむビル成れば鉄骨とクレーンと小さき影は
久山倫代
土佐文旦一つもらつて龍馬が言ふ食べてもええがぢや 生きないかんぜ
佐藤伴子
|
|
|
|